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君想う

第4章 真っ赤な太陽


「なーんだ」

なら別にいいやっと功は表情を変える

「そーだちひろさん次の休み一緒に出かけませんか?」
「え...」

そろりと実弥の顔を覗くちひろ
その顔は不機嫌をめいいっぱいに表していた

「や、やめとこう、かなー」
「えー!実弥さんとは海行くのに俺とはダメなんすかー」
「実弥は特別だから!」

自身が口にしたことにハッとする
「特別」なにが? 実弥は私の何?

「特別ってもしかして...」
「じゃ、じゃーね!実弥行こぉ!」

実弥の手を引きちひろは早足で功の元から去って行った

「ぉぃ!っおい!ちひろ」
「はぁ...ごめんねあんなこと言っちゃって」
「謝らなくていい」
「でも、迷惑でしょ」
「お前にとって俺は特別か?」
「っ、えっと」
「俺はお前のなんだ?」
「... 幼馴染で」
「それで?」

握る実弥の手が熱い
ちひろは耳が熱く顔が上げられない

「俺を見ろぉ」
「っ、」

必死に赤くなる顔を堪えて涙が溜まる

「俺はちひろが、好きだ」
「そんなっ、こ、困るよ」
「悪りぃ困らせたくて言ったんじゃねぇんだ」

実弥は握られた手を離す
「あっ」と思いながら離れて行く手を見続けた
「帰るか」と実弥は前を歩き出す

とぼとぼとついて行くちひろは実弥の言葉が頭から離れないでいた

「じゃぁな」
「うん、ありがと」

アパートの前まで送るとすぐに帰ってしまう

「実弥!」

自分が何故呼び止めてしまったのか呼んだ後に後悔する

「ん?」

振り向くその顔はとても優しい
いつもの実弥だった

「またね」
「あぁ、おやすみ」

そうして、実弥の姿が見えなくなるまで見送った


『すきだ』

勢いで言ってしまったこの言葉に後悔はない 
今まで何年もの間隠してきた気持ちを吐き出せてスッキリしていた
実弥はシャワーを浴びながらちひろを想った

「あいつ泣いてねぇかな」

言葉にしたことは後悔はしていない。けれど、困らせてしまったことに罪悪感とか少し違う気持ちでいた。
次会う時はいつも通りで、と頭からシャワーを浴びた
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