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君想う

第4章 真っ赤な太陽


帰りの電車では実弥を挟んで2人は寝てしまっていた

「ったく」

寄りかかる2人の重さに文句を言いながらも顔は穏やかだった

夜は焼肉を食べに行くことにした

「わーい!」
「兄貴今日はやけに気前がいいなぁ」
「そーでもねぇだろぉ」

可愛い2人に実弥が奢ると言い出したのだ

「食い放題だからな!思いっきり食っとけよ玄弥ぁ!」
「あったりめぇだ!」
「私も飲むぞー!」
「飲み放題もつけるのかよ」
「ダメなの?」
「仕方ねぇなぁ」

喜ぶちひろの顔が見たくてついつい甘やかしてしまう実弥の悪い所だ
3人はたらふく食べて思う存分飲んだ

「ごちそうさまー!」
「うまかったー!」
「食ったなぁ」

3人は大満足をして帰路に着く

「俺ちひろ送ってくから玄弥先に帰っとけぇ」
「わかったー」
「え、いいのに」
「兄貴が送ってくれるってんだから甘えとけよ」

玄弥は「お先にー」と手を振って帰って行った
2人になったちひろは今日の出来事を思い出す

「楽しかったねぇ」
「そぉだなあ」

緊張からか話が弾まない

「あのさ実弥」
「あぁ?」

沈黙を破るようにちひろは口を開いた

「ありがとね」
「なんだよ急に」
「いつも私の我儘聞いてくれて」
「俺ぐらいだろぉなぁ。こんな甘やかせるのは」
「ははっ!そうかも」

実弥が自然と手を握ってきた
ピクリとしたがちひろも握り返す
満足そうに実弥は足取りを軽くした

「実弥前に好きな人いるって聞いた時誤魔化したよね」
「そぉだったかぁ?」
「うん、結局...誰なの?」
「おまえさぁ」
「うん?」
「気付かないわけ?」

立ち止まる実弥
ドキッとしながら実弥の顔を覗く
真剣な表情にこの春からの出来事が頭を駆け巡る

「えっとぉー」
「俺はっ、」
「あー!ちひろさーん!」
「あ、功くんっ」

サッと外れる手を実弥は寂しく感じた

「なにしてんすかー?」
「今日海行ってたからその帰りだよー」
「えー俺ちひろさんの水着みたかったっす!」
「残念でしたー」
「って、実弥さんじゃないっすか」
「おぅ」
「まさか実弥さんと行ってたんすか」

功の暗くなる表情
実弥は「それがどうした」としてやったり顔をする
我ながら大人気ないと思いながらも勝った気持ちでいた

「実弥の弟と3人で行ってたんだよ」


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