第4章 真っ赤な太陽
りかは実弥と2年前に付き合っていた
実弥に一方的に「好きになれない」とフラれてしまっていた
一方でりかはそんな実弥を自分のものにしたくてたまらなかった
「ねぇ〜今なにしてるの?」
「教師」
「そっか!目指してたもんね!弟くんは元気にしてるの?」
「まぁな」
一方的に話しかけるりかを他所に実弥はちひろが気になって仕方がない
「俺やっぱり戻るわぁ」
「やだ、行っちゃやだ」
甘えた口調になるりか
苛立つ実弥
「もぉいいだろォ」
「そんな怖い顔しないでぇ?」
「うるせぇ」
どかっと再び座る実弥
それをチラリと見てちひろは心底機嫌が悪くなる
「なにあの女」
「多分あれ元カノだぜ」
「見ればわかるわよ!」
「(あんな女より私の方が...ってなに思ってんだ!?)」
「なんつー顔してんの」
「なんでもない!」
もう一杯とビールを注文する
チラチラと気になる2人にビールをガブガブと飲んでカウンターに叩きつける
「帰る!!」
「お、おぅ」
バタバタと帰り支度をするちひろに実弥は立ち上がるが「まって」と引き止めるりか
「いい加減にしろやぁ」
凄む実弥にビックリするりかは実弥の手を思わず離した
そしてちひろを追いかける
「ちひろ!待てっ」
「なに?あの元カノと一緒に飲んでたらいいじゃない」
「なに怒ってんだよ」
「怒ってないもん!」
「怒ってるだろぉ」
「だってぇ、あの人実弥に抱きついてたぁ」
目に涙を潤ませ実弥を見上げる
「あー悪かったなぁ。俺に隙があったからやられたんだ」
ぽんぽんと優しく抱きしめる実弥
実弥の胸に手を置く
シャツをぎゅっと握りしめて涙を堪える
「泣くなぁ」
「泣いてないもん」
嫉妬してくれていたちひろに実弥は心底嬉しくて優しく宥める
ちひろは自分の感情についていけず、何故自分が泣いているのか、どうしてこんなにも苦しいのか分からずにいた