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君想う

第2章 わかばが萌える


その足で実弥宅に向かうちひろ

ピンポーン

「はい」

と出てきたのは休みで部屋着のままの実弥だ

「なんだよ」
「ちょっと、えっと、困りまして」
「...とりあえず入れよ」


流石にこたつも片付けられた実弥の部屋
ソファに座り頭を抱えるちひろ
その様子を見てなんとなく察しがついた実弥は「どーすんだよ」とお茶を出した

「え、どーするって何かわかってるの?」
「告られたんだろ」
「エスパー!?」

ペチンと頭を叩かれるちひろ
いたた、と頭をさする

「いやどーするも恋愛対象じゃないし」
「それちゃんと言ってやれよ。時間かけるほうがむごいぜぇ?」
「そうなのかな」
「変に期待させる時間あたえてやらねぇほうがいいって」
「そっか。...じゃぁ明日の夜バイト終わるの待ち伏せしよーかな」
「待ち伏せまでしなくてもいいだろぉけど」
「でも早い方がいいなら...」

はぁ、と溜息を吐き「次仕事が被って時でいいんじゃねぇの」とアドバイス

お茶を一飲みして「そうしよ」とちひろは言った

「え、また来てんの」

部屋から出てきた玄弥は夕方というのに寝起きだった

「おそよー」
「おそよーってなになに?なんの話だよ」
「年下に告られたんだと」
「そいつちひろの中身知らねぇから告れんだよ」
「うるさいよ玄弥」

「へいへい」と台所でお茶を飲みながら返事をした

「確かにこんな酒飲みで腹に肉ついたやつ知らねぇから告れたんだよなぁ」

ニヤリとしながらちひろの横腹をつまむ実弥に「やめてよ」と手を叩く

「私だってこれどーにかしなきゃって思ってるのよ」

そう言って自分の腹をさする

「まぁ俺は少しくらい肉付いてるほうが好きだけどなぁ」

頬杖をついてさらに横腹をつまむ

「もうやめてってばぁ」


「俺は痩せてるほうが好きだけどなー」と小さく玄弥は言った
物好きな兄貴と思ったが口にはしない
彼も実弥の心を知っているから
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