第6章 薬屋と少女
「見つかったか」
マイクにそうメールすると数秒してからすぐに
「なし、後で落ち合おう」
そう返信がきた。
「了解」そう打とうとすると視界の端にある光景が映る。
先程の少女と客が数人で騒いでいた。
「お嬢ちゃん今日は俺にしなよ」
「おっまえずりーよ」
「この前はお前だったじゃねーか!」
そう言って酒に酔った大人が数人で少女に札をひらつかせる。
少女は困ったように笑うだけで、何も言わない。
その光景に頭がグラついた。
「おい、やめろ」
衝動的にそう言ってしまった。
すると視線が俺に集まる。
会話を止められた男たちは一瞬で表情が険しくなる。
「おっまえさあ…」
しまった。
そう思った時、少女が口を開いた。
「お兄さんたちごめんなさい、今日はこの人と約束してあったんです」
そう言って俺の腕に腕を絡ませる。
「おい…」
俺が反論しようとすると少女は俺の顔をじっと見つめた。
穏やかに笑ってはいるが何も言わせない空気感がある。
「約束ってほんとかよー」
男の一人がそう言って頭を掻く、
残りの数人は俺を疑っているようだった。
すると少女が笑顔で言う。
「このお兄さんね、今日は出張で来てるの」
「出張?」
「そう、京都の大きいところ」
そう言って少女は何かのジェスチャーを手でして見せた。
すると男たちの顔色がみるみる変わっていく。
どうやら京都の“やばいところ”の一員だと思われているようだ。
「し、しかたねえな…」
そう言って男たちは諦めたようだった。
すると、少女に腕を引かれる。