第5章 快感の籠
「ちゃんと説明するよ」
校長はそう言って資料を取り出した。
「彼女の個性“魅惑”はね、強力な力で他者を惹きつける代わりに身体への反動が大きいんだ。定期的に性行為をして性的快感を得ないと個性がコントロールできなくなる。」
「…そんな個性初めて聞きました。」
「疑ってるんだろう?…無理もないけど」
校長はそう言って大きなため息をついた。
「学校としては彼女の個性はこれからとても役に立つと踏んでいる。受け入れられないかもしれないけど、彼女の個性を正常に伸ばすには君の力が必要なんだよ」
「…要するに、生徒と性行為しろってことですか」
「簡単に言えばそうなるね」
馬鹿馬鹿しい話に耳を塞ぎたくなる。
しかし、怪訝な顔をする俺に校長は続けて言った。
「この人選は彼女の望みでもあるんだよ」
「日向のですか?」
「君なら信用できるし、個性が暴走したとしても止めてくれるからって。彼女だって自分の成長がかかってるんだよ」
「はあ…」
「これはごく一部の人間しか知らない。もちろん口外もしない。だから頼むよ」
前代未聞の要望に言葉が出ない。
結局、取り敢えず一回だけでも二人で話をするように説得された。