第5章 快感の籠
【相澤消太side】
「…特別補講ですか?」
夕方、生徒がいなくなった学校で校長に呼び出された。
「そう、君のクラスの日向さんね」
「どうして彼女だけなんですか?、特別補講なんて他の生徒との平等に欠くと思いますが」
「まあまあ、話を聞いて」
うちのクラスの日向は、二年生からヒーロー科に入った編入生だ。
個性は“魅惑”
目を合わせた者の思考を低下させ、自分の優位に事を運ぶことができる。
…他者からの好感度を最大まで引き上げる事ができるのだ。
「相澤君は彼女の個性についてどれくらい知ってるのかな?」
「個性についてですか?」
真剣な顔で校長が俺に問いかける。
「生徒のデータにある通りですよ、個性の特性と解除条件…個性の使い方くらいですかね」
そう言うと校長は頷いて、「そうだよね」と含みのある相槌を打った。
「特別補講っていうのは名目だけさ。実は彼女ね、メンテナンスが必要な個性なんだよ」
「メンテナンス?」
「簡単に言ってしまえば定期的に性行為をする必要があるんだ。」
「………はい?」
予期しなかった言葉に校長の顔をじっと見つめる。
いたって真面目な顔をしていた。