第1章 監督生
翌日ーーー
ゴーストとグリムの騒ぎ声で目を覚ましたユウ。
「ふぁ~よく眠れたー。掃除して疲れてたからかな?」
目をゴシゴシしていたところにノックが響いた。
「おはようございます、2人とも。よく眠れましたか?」
その質問にぐっすり眠れたことを伝えるとユウは異世界に来たのに図太いと誉められる。
……誉められたんだよね?
そんな疑問がユウの頭を過った。
「さて、そんなわけで本日のお仕事についてお話があります」
学園内の清掃とグリムの監督をユウは命じられる。魔法を使えないことを考慮された範囲に安心したが、グリムの面倒をしっかりみるように念を押されたユウは少し間を置いて、コクッと頷いた。
「わかりました」
「頼みましたよ。昼食は学食で摂ることを許可します。では、しっかり業務に励むように」
そう言って去っていくクロウリーを見送って、ユウ達はクロウリーが持ってきてくれた朝食をとって身支度をはじめたのだった。
ーーー
清掃の指示されていたメインストリート。
初めて見る石像に興味を引かれた2人に1人の生徒が話しかけてきた。
丁寧に7つ石像の全ての説明をしてくれたのだが、最後に放った挑発的な言葉にグリムがまんまと引っ掛かったのだ。
「うん……まぁ、トラブルなく過ごせるとはおもってなかったけどね」
自分には使えない魔法を駆使して、エースと名乗った石像の説明においては親切だった生徒とグリムが喧嘩を始め、通りすがりの生徒達に煽られながら、
ーーー7つの石像の1つ、ハートの女王の石像を真っ黒コゲに焼いてしまったのだ。
「こらー!!なんの騒ぎです!」
騒ぎを嗅ぎ付けたクロウリーが登場し、鞭で2人の喧嘩を止めた。
「はあ。やっと止まった…」
安堵しているのも束の間、クロウリーの指導はユウにも向けられる。
「ユウくんも、これではグリムくんを監督しているとは言えませんよ」
「一応、止めたんですが…」
反論はしてみるが、2人で1つだと言う自覚はあるユウはそれ以上は言わなかった。
「では、3人には罰として窓拭き掃除100枚の刑を命じます」
長い一日になりそうだとユウはこっそり溜め息を着いたのだった。