第1章 監督生
放課後にあたる時間ーーー
学園の生徒達が勉学に勤しむ中、ユウとグリムは指定された場所の掃除を一生懸命行った。
「ホント、広い学園だったね」
「一日中掃除してもうクタクタなんだゾ~……それなのに、これから窓拭き100枚だなんて……」
「仕方ないよ」
寧ろ、大切だからこそあの場所に飾られているのだろう石像を丸焦げにして窓拭きで終わるなら全然良い方だとユウは思った。
「修理する魔法も使えなければ、弁償できるお金が有るわけでもないんだから」
「ぐぬぬ~……」
ユウの説得にグリムも反論は出来ないようだった。
指定された時間に、指定された場所に行く。
待てど暮らせどもう1人の罪人、エース・トラッポラが姿を現さない。
「…………いくらなんでも遅すぎるんだゾ!?まさかアイツ、逃げたんじゃないだろーな!」
痺れを切らしたグリムの叫びに、思わず「ありうる……」とユウは呟いた。
そうして迎えに教室へと向かったが、誰も居なかった。
いやーーー喋る絵画は居た。
普通、絵画は喋らないとユウはツッコミをいれたが見事に返された。
しかし、丁寧にエースの行方を教えてくれたのでお礼を云って寮に向かったというエースを追いかけたのだった。
ーーー
「窓拭き100枚なんかやってられるかっての。さっさと帰って………」
なんて言っているエースに追い付いた。それをグリムが追い掛ける。
エースは目の前に居た、逃走経路を妨害している生徒に向かって叫ぶ。
「どいたどいた!」
「えっ、お、おう!?」
言われた生徒は慌てて避けようとする。
「その人、掃除をサボる悪い人です。捕まえてください!」
「なにっ!それは悪い奴だ!人を捕まえるには……」
ユウの言葉に協力してくれようとしている生徒は、色々なにか考えてブツブツ言う。
「なんでもいいからぶちかますんだゾ!早く!」
「なんでも!?なんでも、なん……」
グリムが煽ると、その生徒はーーー何も浮かばなかったらしい。
「なんでもいいから、いでよ!重たいもの!」
ガシャン!
「ぐえぇっ!ナンダコレ!?鍋!?」
鍋よりも大きい釜がエースにのし掛かり、見事に足留めを成功させたのだった。