第2章 転入生
フェアリービーストーーー
獣人属とフェアリー族の間に出来た子供に当たる。
……のだが、サバナクロー寮の寮生をみて分かる通り獣人属は血気盛んな連中が多い。
元より異種族同士の子供が極めて珍しい中、滅多に人前に現れない気紛れなフェアリーの種族となるとラギーの言うとおりレアな存在ではあるのだろう。
ラギーはさっきの先輩達の歓迎を思い出した。
ヒラヒラとした動きで確実に相手を仕留める獰猛さに加え、最後に防いだ魔法攻撃ーーー。
言われてみれば確かに、魔力が高いフェアリーと、身体能力が高い獣人属の両方の血を完璧に引き継いでいる戦闘だった。
『衛兵の中でも強さや魔力が群を抜いている。ココの連中がいくら束になろうと勝てやしねえだろうよ』
「そういうことッスか………」
「ん?そういうこと?」
「……なんでもないッス。こっちの話」
レオナがさっきいっていた言葉を思い出してラギーはようやく着席した。
「ってことはお父さんが獣人属でお母さんがフェアリー属ッスか?」
「ううん?2人ともフェアリービーストだよ」
「レア中のレアじゃないッスか……後で尻尾の毛をちょっと分けてくださいッス」
「別にいいけど何するの?」
「高値で売るッス」
「え」
ラギーの言葉に、ノクスの尻尾が無意識にくるんと丸まり、足に隠れたのだった。