第1章 監督生
相場って 、どこの相場?なんて、思わずツッコミたかったが、それよりも衝撃な事実を知ってユウは思わず大きな声をあげた。
「つまり、あの馬車に勝手にここにつれてこられたってこと!?」
「むがーー!むががーー!!」
そう言い終わった後に、今度はグリムが何か言いたそうに言葉に成りきれなかった声をあげたが、クロウリーはサラッと無視した。
「さっ、入学式に行きますよ。」
そう言って、鏡の間と呼ばれる場所へ急いだ。
鏡の間に着くとユウの目に入ったのは幾つかの集団。
「?」
其々、ある1人を中心に集団ができているようだった。
「さあ、寮分けがまだなのは君だけですよ。狸くんは私が預かっておきますから、早く鏡の前へ。」
クロウリーに言われるがまま、宙に浮いている大きな鏡の前にゆっくりと進むと突然、鏡に仮面が浮かび上がった。
「汝の名を告げよ」
「ユウです」
そう言うと、鏡はユウの名前を復唱した。
そして、
「汝の魂のかたちは………」
たましいのかたち?
そんなものがあるのか、と鏡の次の言葉を待つユウ。
「…………………」
?
「…………………」
??
「わからぬ。」
「なんですって?」
暫くの沈黙の後、そう告げた鏡に反応したのはクロウリーだった。
「この者からは魔力の波長が一切感じられない……色も、形も、一切の無である。よって、どの寮にもふさわしくない!」
そうハッキリと鏡が言ったため、ざわめきが起こる。
「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!生徒選定の手違いなどこの100年ただの一度もなかったはず。一体なぜ……」
校長だと言っていたクロウリーも僅かに混乱しているようであり、考え始めた。
その隙をついて預かられていた狸ーーーもといグリムがクロウリーの手から逃れて、生徒にしろと暴れ始めたのだ。
初めて見た時と同じように炎を撒き散らして逃げ回る。
しかし、直ぐにこの学園の生徒と思われる人達の手によって取り押さえられた。
「ーー『首をはねろ』(オフ・ウィズ・ユアヘッド)!!」
赤髪の生徒がそう言ったと同時に、グリムの首に赤と黒を基調とした首輪がカシャンと音を立てて嵌まった。