第2章 転入生
サバナクロー寮長部屋ーーー
「で?何でノクスが来たんだよ」
ドカッとベッドに腰かけてレオナはノクスに向かって言い放つ。
「王宮にこの学園に行けそうなのが僕しか居ないから仕方なく?」
「…はぁ。なんでまたノクスなんだか」
ブツブツ言うレオナにラギーは恐る恐る口を開く。
「2人は知り合いだったんスか?」
「あ?同じクラスになったって聞いてたが…話さなかったのかよ?」
「どこまで話していいか分からなくて」
エヘッと笑っていうノクスにラギーは驚きを隠せない。王宮に、と言っていたということは、だ。
…つまり、レオナの地位など理解して発言している筈なのに、とラギーの頭は疑問でいっぱいだ。
「コイツは王宮の衛兵だ」
「衛兵!?だからあんなに強かったッスね…」
「それほどでも」
ノクスはニコニコしている。
誉められて嬉しいようだ。
「衛兵の中でも強さや魔力が群を抜いている。ココの連中がいくら束になろうと勝てやしねえだろうよ」
「そうだったんッスね……心配して損したッス」
ラギーは盛大に息を吐き出した。
こんな意味不明な時期の転校も、華奢な容姿でサバナクロー寮だったことも、その見た目に反して強すぎたことも、全ては自分達の王であるレオナが理由だったことが判明した。
これで、ラギーは警戒する必要が全くなくなったと安堵した。
ラギーは改めてノクスをみた。
丁度、レオナがノクスの頭を少し乱暴ではあるが撫でてやっているところだったーーー。
レオナのあまりに驚きの行動にラギーは言葉もでない。
「ノクス、シャワー浴びてこい」
「僕の部屋無いって言われましたけど?」
「だからここで入れって言ってるだろ」
「そっか!分かりましたー」
そう言うと、ノクスは寮長室に備え付けてあるシャワールームへと移動した。
暫くしてラギーはレオナに疑問をぶつける。
「レオナさんにしては珍しく…その、優しいッスね」
「……。」
レオナは黙った。
そして、はぁーっと長い息を吐くとぼやくように言葉を吐き出した。
「………『女』なんだよ、アイツ」
「…………へ?」
思いもしてなかった内容に、
ラギーは間の抜けた声を出してしまったのだった。