第2章 転入生
それでもまだ向かってこようとする連中にノクスも付き合っていた。が、勝敗はみえているのに如何せん人数が多過ぎて終わらない。
「ざけんなよ!ゴラッ゛!!」
今のところ唯一立っている奴の拳をノクスが軽い身のこなしでかわした時だったーーー
「遊ぶのはそれくらいにしておけ、ノクス」
「!」
「「「!?」」」
突然響いた声で一瞬にしてピタッと動きを止めるノクス。
「レオナさん!?」
「「「「り、寮長!!」」」」
現れたのはサバナクロー寮の寮長ーーレオナ・キングスカラーだった。
「あれ、今レオナさん、ノクスくんのこと名指ししなかったッスか?」
「た、確かに……」
ラギーの驚きに他の連中も動揺しながら返事する。
ノクスはあれほどの大人数を相手した後にもかかわらず、疲れを感じさせない足取りでトコトコとレオナに歩み寄る。
「「「「!?」」」」
そして膝を地に付け、頭を下げた。
「お久し振りでございます、レオナ王子」
「立て。その堅苦しい挨拶ヤメロって言ってんだろ」
顔をあげたノクスはニッコリと笑っている。その顔をみてレオナは盛大に溜め息を着いた。
「行くぞ」
「はい」
「ラギーもこい」
「!?ッス!」
ちょっかいをかけていた相手がまさか自分達の長と知り合いだったことに恐怖して、先程までの騒がしさとはうって変わって一瞬でシーーンと静まり返ったのだった。