第2章 転入生
お昼ーーー
「ここが食堂ッス」
「へー………ビュッフェスタイルなんだ」
「なに食べます?」
「うーん目移りしちゃうけど……魚かなー」
笑っていうノクスを見れば見るほど、とてもサバナクロー生ではないような気がする。
適当に食べ物を取って席に着くとラギーは思っていたことを直接聞くことにしたのだった。
「こんな時期に転校なんて珍しいッスね」
「僕もまさか学校に通うとは思ってなかったんだよね」
「え?」
ニコッと笑うノクスに、これ以上は聞いてはいけないとラギーは踏み込むのを止めた。
「僕からも質問いい?」
「何ッスか?」
「ラギーの制服、ラギーじゃない匂いが混ざってるけど」
「えぇ!?まだ匂うッスか!?」
食事の手を止めてクンクンと制服の匂いを嗅ぐ。
「僕、耳と眼と鼻は良いから」
「獣人は大抵そうじゃないっすか!いや、でもクリーニングにも数回出してるのに!」
「あと身体に合ってない」
「レオッ…寮長のお下がりなんッスよ」
ラギーが言うと、ノクスはポムと手を叩く。
「そっか!それで」
「寮長にはもう会ったッスか?」
「今日の朝からココにきたばかりだから、まだ」
言い終えて魚のソテーをパクリと食べるノクス。
「あー教室に行ってもサボってるだろうし寮に行ってからでいいッスかね?」
「うん」
お行儀よく食事を取り終わると、移動教室を中心に校内を案内する。
そして、午後の授業を受け終わって放課後になった。
寮に向かうべく、東の間に向かう。
寮ごとの鏡があるそこで、ラギーは一旦立ち止まった。
「ノクスくん…本当にサバナクロー寮生ッスか?」
「うん」
「……。」
ラギーは少し黙った。
ここに辿り着くまでにもヒソヒソと話す声は聴こえていた。既にノクスが寮に編入してくることは上級生の耳にも入っているところだろう。
ノクスの容姿を見てニヤニヤする連中も居た。
でも、どんな状況でも生き残る不屈の精神こそかサバナクロー寮の信条ーーー
ここで生き残れないようなら話にならない、ただそれだけッスね……
「覚悟はいいッスか?」
「うん?寮に帰るのに覚悟が要るの?」
「新入生はいるッス」
「そうなんだ」
サバナクロー寮に繋がる鏡が光り、2人を包んだ。