第1章 監督生
クロウリーはユウが決断するのを待ってくれている。
ユウは小さく息を吸って、吐いて。
意を決して口を開いた。
「行く宛もないし、グリムもナイトレイブンカレッジの生徒になれて嬉しそうだし、できればこのまま生徒として通いたいです」
「分かりました」
クロウリーはアッサリとそう言った。
「しかし、約束してください。秘密を守れそうな方以外にバレてしまった場合はすぐに報告すること」
「分かりました」
「あと各寮長だけにはこの件を伝えさせていただきます。その方が何かあったときの対応が素早く出来るでしょう」
「有難うございます」
食堂での話を適当に過ごすほど、ここを追い出された場合の事を考えていたためユウは思い詰めていた分を長く息を吐き出した。
「もちろん!私も困ったときは何時でも相談に乗りますよ。私、優しいので」
ニッコリ笑って言ったクロウリーにユウは笑顔で返した。
そして、思い出したように手をポン、と叩く。
「ーーーああ、そうだ!貴方にあの生徒を紹介しておきましょう。そうすれば私の面倒も増えな……いや、きっと私よりも相談しやすいでしょうからね、色々と」
「あの生徒?」
いま、面倒って言わなかったかな?と思いながらも一番に疑問を感じた部分を拾うユウ。
「丁度、今から会いますから」
そう言うと、当初の目的通り食堂へ向かったのだった。