第1章 監督生
「貴方たちが持ち帰った魔法石の使い方をお見せしようと思って。初めてでしょうから見学でもどうです?私、優しいので誘いに来ました」
「うげ~。オレ様はいいんだゾ。ユウ、先に植物園にいってるんだゾ!」
「!?じゃあ、是非とも!」
グリムが傍に居ないこの状況なんて滅多にないと、ユウは更に気合いを入れて返事をしたのだった。
「では、食堂へ行きましょう」
すれ違う人もおらず、今がチャンスと言わんばかりに辺りに人が居ないことを確認して、ユウは学園長がよくやるようにコホンと咳払いをした。
「あの学園長」
「なんです?」
「ナイトレイブンカレッジって……男子校だったんですか?」
「そうですよ?それがなにか?まさか『魔法が使えない』の次は『女性』なんです、なんていうんじゃ」
「そうなんですよ!流石、学園長!考察力が高いですねっ!」
「そうでしょう、そうでしょう!そのためン十年と学園長を任されていま何て言いました?」
ピタリと止まってユウを見るクロウリー。
「いや、魔法が使えないの次に女性であることを伝えておこうと思いまして」
「………。」
「………。」
静寂が2人を包む。
「な、何でそんな大事なことを黙ったいたんですか!?」
そして、ついにクロウリーは大声をあげた。
が、ハッして辺りをうかがうと改めて声を潜めて続けた。
「男子校に女性なんてどれだけ危険か!しかも貴方は魔法が使えない!ああ、どうすれば…!」
頭を抱えて悩み始めたクロウリーに少し申し訳なささが込み上げてきたユウは小さく謝った。
「でもナイトレイブンカレッジが男子校であることをついさっき知ったから」
「……そうですよね。貴方が異世界からきたことを失念して説明を行わなかった私にも非があります」
クロウリーは少し考え込む。
「ユウくん。貴方たちは2人でひとりの生徒として通うことになりましたが、どうしたいですか?」
「え。」
ユウは驚いた。
『魔法が使えない』ことはグリムに補ってもらえるが性別ばかりはどうしようもない。
よって、即刻退学を言い渡されると思っていたのだ。