第1章 監督生
翌日ーーー
朝からエースを探しに?デュースもオンボロ寮に来た。昨日、寮長への謝罪を提案したユウは朝早くからエース達の所属寮ーーー『ハーツラビュル寮』に来ていた。
オンボロ寮とは全く違う、赤と黒と白を基調とした優雅で気品に溢れた寮に驚いただけでなく、寮独自のルールを守るために薔薇の色を白から赤に塗り替えている先輩に絡まれたりと、朝から慌ただしい1日の始まりだった。
そんなこんなで登校初日。
何もかもが斬新に映るグリムとユウは、食堂で先輩に絡まれたりしながらようやく昼食にありつけたところで、今度は朝から絡まれたハーツラビュル寮の先輩に話し掛けられたのだった。
ケイト・ダイヤモンドとトレイ・クローバーと名乗った3年生の先輩達に、寮に纏わる話を聞くことになった。
その時までは。
ユウが就寝前に少しだけ考えたモヤッとして、なにか引っ掛かっていることの正体がハッキリと判ることになるなんてユウ自身、思っていなかったのだ。
寮を見分ける制服の説明をしたあと、トレイが言い出したーーー
「どの寮に入るかは、入学式のとき魂の資質で闇の鏡が決めるとされているけど……何となく、寮ごとにキャラが固まってる感じはあるな」
「それはあるねー。めっちゃわかる」
この話のときだった。
誰がどの寮っぽい、と寮の特徴を交えて話したいたときのことだった。
「話を戻すと、あっちのやたらキラキラしいのはポムフィオーレ寮。紫と赤の腕章をしてる」
「ホワッ!超可愛い女の子がいるんだゾ!」
「エッ!?男子校なのに!?」
「えっ!?男子校な…」
「アホ。男子校に正式入学した奴に女がいるわけないでしょーが」
ユウの声はエースの言葉によって遮られてしまった。
その後の話を適当な相槌で乗り切っていたらいつの間にか放課後、栗拾いに行くことになっていた。
そして、放課後ーーー
「ユウくん」
栗拾いに行くために植物園に向かっていたところ、クロウリーに呼び止められたのだ。
「学園長!」
今一番、会いたかった人物の登場にユウはいつもより元気よく反応した。
クロウリーはそれに少し驚きつつも、コホンと咳払いをした。