第1章 監督生
「トラッポラくん。スペードくん。2人の退学を免除するとともにーーユウくん」
「はい?」
「貴方にナイトレイブンカレッジの生徒として学園に通う資格を与えます!」
「「「えぇっ!?」」」
その提案に、ユウ以外が驚きの声をあげる。
「魔法が使えないのにいいんですか?」
「ええ、なんせ私、とびきり優しいので。ですが、1つだけ条件があります。貴方は魔法が使えない。魔法士としては論外です。満足に授業を受けることすら出来ないでしょう、そこでーーグリムくん」
突然、話の矛先がグリムに向かう。
「君は今日、魔法士として十分な才能を持っていることを私に証明しました。よってユウくんと2人で1人の生徒として、ナイトレイブンカレッジの在籍を認めます」
「ふな"っ!オ…オレ様もこの学園に通えるのか…?雑用係じゃなく、生徒として?」
「はいーーただし!昨日のような騒ぎは二度と起こさないように!いいですね?」
「ふな…ふなぁ…ユウ、オレ様…」
「よかったね!今日から一緒に頑張ろう」
「ふなぁ~~!やったんだゾ!」
「それでは、ナイトレイブンカレッジの生徒の証である魔法石をグリムくんに授けましょう」
クロウリーがそう言うとグリムの首に大きくて綺麗な紫色の石が嵌まる。
「本来生徒は魔法石がついた"マジカルペン"を使うのが決まりですがその肉球では上手く握れないでしょう?特別カスタムです。ああ……なんと細やかな気遣い!私優しすぎませんか?」
その問いに浮かれ上がっているグリムは返事しない。
「全然聞いていませんね……ユウくん。ご覧の通りグリムくんは人間社会に不慣れです。君がしっかり手綱を握って、騒ぎを起こさないよう監督するように!」
「あはっ!すげーじゃん、お前。入学したばっかで、もう監督生になっちゃったわけ?」
「なるほど。お前たちの寮に寮生は2人だけなのか……。」
雑用係から生徒になり、さらに寮生が2人だけなので監督生という肩書きまでついたユウ。
更に、「ゴーストカメラ」という魔法道具も渡されて記録係りという仕事も担うことになり少し不安になったが、エースとデュースに励まされて頑張ることを誓ったのだった。
「さて、今日はもう遅い。詳しい話は明日しましょう」
こうして長い1日は終わりを告げた……