第1章 監督生
学園に戻り、学園長に魔法石を渡すべく学園長室にいこうとしたが、学園長は鏡の間に居た。
そして、その第一声が
「ーーーエッ!?本当に魔法石を探しにドワーフ鉱山へ行ったんですか?」
「「「「へっ?」」」」
だった。
「いやぁ、まさか本当に行くなんて……しかも魔法石を持って帰るなんて思っていませんでした。粛々と退学手続きを進めていましたよ」
「んがっ!なんて野郎なんだゾ!オレ様たちがとんでもねーバケモノと戦っている時に!」
「バケモノ?」
「モンスターが出てきたんスよ」
その話を詳しく聞くべく、クロウリーは学園長室にユウ達と移動した。
炭鉱に住み着いたバケモノを4人で仲良く協力して退治したことを知ったクロウリーは………盛大に泣き出したのだ。
「この私が学園長を務めて早ン十年……ナイトレイブンカレッジ生同士が手と手を取り合って敵に立ち向かい打ち勝つ日がくるなんて!」
この台詞を聞いてユウは苦笑した。
「やっぱりみんなあんな感じがデフォなんですね」
「私は今、猛烈に感動しています。今回の件で確信しました。ユウくん。貴方には間違いなく猛獣使い的才能がある!」
「どんな才能!?」
この間と同じ事を言われ、今回はツッコミをいれるユウ。
「ナイトレイブンカレッジの生徒たちはみな闇の鏡に選ばれた優秀な魔法士の卵です。しかし、優秀がゆえにプライドが高く、我も強く他者と協力しようという考えを微塵も持たない個人主義かつ自己中心的な者が多い」
「ほとんどいいこと言ってねーんだゾ」
「いや、でもその通りじゃないかな」
「貴方は魔法が使えない。ですが、おそらく使えないからこそ、魔法を使えるもの同士をこうして協力させることが出来た。きっと貴方のような平々凡々な普通の生徒がこの学園には必要だったのです!」
「全然いいこと言ってなくね!?」
「いや、でも平々凡々は本当だしね」
「ユウくん。貴方は間違いなくこの学園の未来に必要な人材となるでしょう。私の教育者のカンがそう言っています」
「……有難うございます?」
必要とされているということは生活拠点を失わずにすんだということではないだろうか、とユウは一応、礼を述べた。