第1章 監督生
「オ、オイユウ。いきなりキツいこと言い出してどうしたんだゾ」
一番驚いていたのはグリムのようだった。でもユウは笑顔を崩さないで続ける。
「だってそうでしょ?同じ目的があるのにぶつかり合ってるだけだし。そんなんだから2人とも歯が立たないんだよ」
「ふ…ふなぁ……」
図星をつかれたのか、これだけバッサリ言われたのにもかかわらずユウが一切戦闘に加わっていない事を攻撃するものは居なかった。
「ぐっ……。し、しかし……一体どうしろっていうんだ」
「みんなで力を合わせよう」
「力を合わせるって……。ハッ、なにソレ寒っ。よくそんなダッセェこと真顔で言えんね」
「同感だ。こいつと協力なんか出来るわけない」
それでもエースとデュースは反発した。
「でも……。入学初日で退学って、もっとダセー気がするのだ」
「うっ、それは……」
「……………………」
そこにグリムまでがトドメをさしに掛かった。
「1つ提案があるんだけど……」
大人しくなった2人にユウは作戦があることを申し出た。
ユウの作戦はバケモノを洞窟から誘き寄せて引き離し、攻撃して怯んでいる間に魔法石を入手するというシンプルなもの。
しかしそれは、個々の得意な魔法を生かした作戦だった。
魔法の使えないユウが、バケモノを挑発して洞窟から誘き寄せる。
風を操ることが得意なエースが、火を操ることを得意とするグリムと協力して攻撃し、隙を作る。
そこに、物を出現させることを得意とするデュースが足留めできる程の大きくて重たいものを出現させて攻撃する。
そして、バケモノが怯んだ隙に魔法石を入手するーー
ユウの作戦の通り、魔法石を入手する事ができたのだった。
バケモノはしつこくユウ達を追ってきたが、4人は弱っている今なら、と覚悟を決めて戦いーーーーついにバケモノとの戦いに勝利したのだった。