第1章 監督生
ところ変わってドワーフ鉱山ー静寂の森ーーー
辺りは真っ暗。
不気味なくらい静かな森に1つだけ家が建っていた。
エースの提案で聞き込みに訪れたのだが空き家だった。
結局、何の情報もないまま鉱山へと入っていく3人と1匹。
中にはゴーストがウヨウヨいた。
ゴーストから逃げ、隠れしながらどうにか朝までに魔法石を入手しなければ退学になってしまう。
ユウの場合、退学……は生徒でないから良いものの、見知らぬ世界に何も知らない状態で帰る手掛かりも生きる術もなく放り出されてしまうことになってしまう。それだけは絶対に避けなければならない。
ーーーだと言うのに。
「いちいち構ってたらキリがない。先を急ぐぞ」
「偉そうに命令しないでほしーんだけど。大体、お前があんな馬鹿な真似しなきゃこんなことになんなかったのに」
「元はと言えばお前が掃除をサボったのが原因だろ!」
「それを言ったら、最初にハートの女王の像を燃やしたのはそこの毛玉だぜ!」
「ふな"っ!オマエがオレ様を馬鹿にしたから悪いんだゾ!」
「お前たち!今の状況がわかってるのか?朝までに魔法石を持って帰れなければ僕たちは退学なんだぞ!」
「だ~から、さっきからいちいち仕切んなよ。ムカつくなあ」
ぎゃーきゃー言い合いを始める始末。
「3人とも落ち着いてっ…………?」
ユウが中々止まない口論を止めに入ろうとしたときだった。
「……今、人の声が聞こえたような」
何かの呻き声が聞こえてくる。
ユウの言葉に2人と一匹も口論を止めて、その声に耳をすませる。
「なんか………だんだん近付いて……」
『イジハ………オデノモノダアアアアオオオオ!!』
そう言って現れたのは真っ黒なインクみたいなのが顔から流れている赤い服を着たバケモノだった。
「「「「で、出たああああ!!!」」」」
ゴーストには驚いていなかったグリム以外も流石に驚く。
一行はとりあえずその場を走り去ったのだった。