第1章 監督生
購買部に行く道中ーー
「はい。これ、ラギーにも分けてあげるよ」
「ん?これ、さっきの魔法石の欠片ッスか?」
「うん。そのくらいの大きさなら欠片でも歴史的価値を考えれば、5万マドルくらいはすると思う」
「5万っ!?」
驚きのあまり思わず落としそうになったのを上手にキャッチして、次は落とさないように大切に持つ。
「……何が望みッスか?ノクス君がタダでくれるわけないッス」
「今日の夜からレオナ様のお世話係1週間分でどう?」
「………乗るッス」
深く追求することなくノクスの提案をラギーは承諾した。
「大変ッスね…『女の子』ッて」
ボソッと言ったラギーの言葉を、三角耳をピコピコと動かして拾うとノクスは苦笑した。
「……ホントにね」
「………。」
軽く下腹部を撫でながらポツリと言う。
その返事を、ラギーは出来なかった。
代わりにポンポン、とノクスの頭を撫でる。
その行動に、ノクスは嬉しそうに笑ったのだった。