第1章 監督生
ーーー見付けて、追い掛けて。
ようやく追い付いたが、グリムが逃げた先は食堂のシャンデリアの上だった。
「へっへっへ!捕まえられるもんならつかまえてみろ~だゾ!」
「くっ、シャンデリアに登るとは卑怯だぞ!」
「飛行魔法はまだ習ってないし……はっ、そうだ!」
「何か良いアイデアが………」
ブツブツと考え込んだ末にデュースが何か思い付いたようだ。
……が。
「って、おいおい、ちょい待ち!なんでマジカルペンこっちに向けてんの!?」
「お前を投げればいいんだ!」
そう言ったと同時にエースの身体がフワリと10センチ程浮いた。
「嫌な予感しかしない………え、本気?」
「冗談でしょ!?うわわわっ!浮かすな!オレのこと投げる気かよ!?やめろマジで!」
「しっかり捕まえろよ……いくぞ!」
ユウの心配やエースの制止も聞かずにデュースは思い付いたアイデアを実行に移す。
そうして、聴こえてきたのは
「ぎええええええええ!!」
エースの絶叫と、
「ふな゛あああ!!!!????」
グリムの悲鳴と、
「なにしてんのこの人!?……シャ、シャンデリアがーーー!!!」
ガシャアーーーーン!!!!
ユウの喚声とともにシャンデリアの壊れ散った音だった。
あたりに砂埃が舞う。
ォエッ!ゲホッゲホッ!!
地面に乱雑に着地したエースは咳き込みながらゆらりと立ち上がった。
「怪我はしてないみたい、だね」
「信じらんねえ!」
ユウの心配をよそにエースはデュースの方に向かって叫んだ。捕まえられたグリムもあまりの出来事に「ふにゃぁあぁ……」と情けない声をあげている。
「し、しまった!捕まえた後の着地のことを考えてなかった……!」
「おっま……バッッッカじゃねぇの!!!???グリムは捕まえたけど、シャンデリアぶっ壊したのが学園長に知れたら……」
「知れたら……なんですって?」
「!?」
背後からの声に思わずビクリと肩があがるユウ。
「あ………学園長………」
「あ~な~た~た~ち~は~~~~ッ一体なにをしているんですか!!!!」
荒れだけの騒ぎに気付かないわけがない。
「石像に傷を付けただけでは飽き足らずシャンデリアまで破壊するなんて!もう許せません。全員、即刻退学です!」