第1章 監督生
「まさか大釜が出るとは。ちょっとやりすぎたか……?」
そんな生徒の心配をよそに、グリムとユウはエースとの間合いを詰める。
「あいたた……いーじゃんかよ。窓拭き100枚くらいパパッとやっといてくれたってさー」
「学園長命令です。罰として3人(?)で行うようにって言われました」
ユウとグリムは、じとーっとした視線を送りながらエースに言う。
「罰で窓拭き100枚って……一体君たちはなにをやったんだ?」
「今朝、そこの毛玉とじゃれてたらハートの女王の像がちょーっと焦げちゃっただけ」
「グレート・セブンの石像に傷を付けたのか!?それは怒られるにきまってるだろう」
やっぱりあの像は大事なんだな、といまだにグレート・セブンの偉大さなどがピンと来ていないユウは2人のやり取りを黙ってみていた。
エースの足留めを手伝ってくれた生徒、デュース・スペードはどうやらエースのクラスメイトだったようだ。
「とっ、とにかく!学園長からの命令なら、真面目に取り組むことだ」
「はいはい。わかりましたよ~っと……。んじゃ、パパッと始めますか………ん?」
「……あれ。そういえばグリムが静かだ」
そんな2人のやり取りに気を取られ過ぎていた。
キョロキョロと辺りを見渡しても姿が見えない。
「あっ!毛玉がいない!」
ーーー今度はグリムが逃げたのだった。
こうして、次は無理やり巻き込まれたデュースを伴ってグリムの捕獲へと向かうのだった。