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暗殺者の愛で方壊し方

第7章 暗殺者の上手な別れ方【中編】





「…………ッッ」



「時雨…?」




肩で息をしながら、息苦しさに飛び起きたあたしを教授が追いかける。


「すごい汗、悪夢でも見ました?」


肩へと手をまわしながら、ゆっくりと抱きしめられれば。
すっぽりと教授の腕の中だ。
だけどそれでも。
体の震えが止まらない。
息苦しさが消えない。
心臓の音が鳴り止まない。


「時雨?」


「…………教授」


寒いわけでもないのに、カタカタ震える体を制御出来ない。


「どーしよう、怖い…」
「怖い?何が?」
「わかんない…………」




わかんない。
あれは、夢?
現実?
誰の夢?
誰かとシンクロした?

ううん違う。

『時雨』って、言った。

誰かが、あたしを時雨と呼んだ。
誰だった?
モヤモヤしてて顔、思い出せない。
思い出せるのは恐怖だけ。
何もわかんなくて怖くて怖くて。
ただただ恐怖だけに支配されてた。


あれは、何…………?



「時雨?」


無意識に握りしめた教授のTシャツ。
力が入りすぎてシワになっても。
指先が真っ白になるくらいに握りしめた。




「ずっとここにいます」
「うん」


頭の頭頂部に落とされた優しい口付け。


「ちゃんと時雨が眠るまでこうしてますから。安心しておやすみ」
「うん…」


ベッドへと横になって。
腕枕された右腕はそのまま頭を抱えるように。
左腕はお腹あたりにまわされて。
教授へと背中を預けたままに、あったかい温もりの腕の中。
ゆっくりと目を閉じた。
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