第4章 暗殺者は三度(みたび)哭く
「時雨…………っ」
それ、やば…………っ
ぐ、と。
力を入れてなんとか時雨を引き離すけど。
あんな気持ちいいことされて。
しかも時雨に。
我慢なんて出来るはずも、なく。
時雨の口の中と、引き抜いた拍子に勢いよくそれは時雨の顔へ飛び散った。
「ごめ…ッ、吐き出せ時雨それ…っ」
口の中へと出してしまったそれを、吐き出させようとティッシュを慌てて取り出すけど。
ゴクン、て。
時雨の喉が鳴いた。
「お、ま…っ、バカ…………ッッ」
「…ぅええ…っ」
涙目になって、顔に掛かった精液を指先でひとすくい、して。
また顔を顰める時雨。
「な、にそんなの飲んでんだよおまえ」
ぐい、って。
顔に掛かったベトベトしたものをウェットで拭いながら。
「口ん中は?もうない?」
顔を上向けて口を開けさせる。
「なんで?教授のじゃん、嫌じゃないよ?」
「は?バカ?おまえ」
「…口悪くなってる、教授」
「あんなん、飲むもんじゃねーし」
「なんで?雨音と見たDVDでは飲んでたよ?」
「…は?」
今。
なんつった。
「はぁ?」
「教授うるさい」
「誰と何を見たって?時雨。いつ?なんで?なんで雨音くんと見たのおまえ。は?意味わかんねー」
「だから教授、口悪くなってるよ?」
あり得ない。
あり得ない。
絶対あり得ない!!
「まさか時雨、雨音くんと実戦…」
「雨音がやだって」
…………それは。
雨音くんが拒否らなければやってたと?
「やだなぁ教授、冗談だって…、あれ?」
雨音くんと?
こんなこと?
「…………教授?」
「時雨」
青ざめたって手遅れ。
ついでに雨音くんはやっぱり殺す。
死刑。
なぶり殺す。
絶対殺す。
決定。
「あ、あの、教授…、あたしお風呂、入りたいです」
冗談。
逃がすと思ってんの?
「やられっぱなしは、好きじゃないんでね」
強引に組み敷いた時雨の顔が、真っ青に震え出して。
その表情に煽られるように唇を舐め上げた。