• テキストサイズ

暗殺者の愛で方壊し方

第4章 暗殺者は三度(みたび)哭く





カタン



玄関で、音がして。
薄暗い部屋の中、教授の匂いでいっぱいの布団に顔を埋めて目を閉じた。



真っ直ぐに、廊下をきしませて歩く足音。
少しゆっくりと。
辿々しく。
寝室の前で止まった足音は、少しの間の後、ゆっくりとドアを開けて入ってきた。




「時雨、寝ちゃった?」



ぎし、って。
ベッドを軋ませて耳元で聞こえた教授の吐息。
お酒の、匂い。
それから。
タバコの匂い。


「時雨」



耳の中に入ってくる、教授の熱い舌。
指先は、布団の中であたしの胸を後ろから抱きしめるように、捉えた。


「時雨起きて、しよ?」


「…………っ」



後ろからパジャマの中に直に指先が入ってきて、肌を撫でる。
それだけでピクンと反応しちゃうあたしの体は、全部教授が教えてくれたもの。
教授がくれた刺激。
熱さ。
教授が教えてくれたとーりに反応して、快感を見出していく。


「時雨」


うなじへと唇が触れて、熱い舌が、撫でる。


「大好き時雨、起きて」


胸が直接、掌によって形が変えられていく。
先端を、掠めるように指の腹が、触れていく。


1週間焦らされ続けた体には強すぎる熱で、背中を丸めて身体を震わせた。


「…ねぇ時雨?こっち向いて?」


起きてることなんて、絶対教授は初めからわかってたはず。
寝たフリなんて。
教授に通用するはずないの、わかってるから。



そして。



教授がお酒になんて酔わないことも、知ってる。
どんなに飲んでも、呑まれちゃうほど酔わないこと。
いつ誰が教授を殺しに来るかわからない状況で、決して酔わないこと。
知ってる。
だから。
これも酔った、"ふり"。



だから。

口元を両手で塞いで首を振った。
/ 90ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp