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暗殺者の愛で方壊し方

第4章 暗殺者は三度(みたび)哭く




「…………なんでぇ?」




涙を貯めた時雨に背を向けて。



「少し出てきます。遅くなりますから先に寝ててください」



振り返らずにドアを開けた。








時雨に出会って、数ヶ月。
好きで、愛しくて。
時雨の気持ちなんて無視して毎日毎晩抱き潰した。
それでも足りないくらいに欲求は絶えなくて。
時雨を求める欲求が途切れることなんてなかった。
いつか壊してしまう。
なんなら、壊れてくれればと願ったりもした。
それは今も変わらない。
だから。
作戦を、立てた。


いつもマイペースな時雨を。
少しずつこちらへと引き込む作戦。



もっと俺を見て。
もっともっと、俺のことだけ考えて。
頭がぐちゃぐちゃになるくらい、俺で満たして。
他のことなんか、目もくれないくらいに。考えられないくらいに。





『教授が触れてくれない』



効果覿面。
雨音くんに相談する時雨は女の子そのもので。
少しずつ。
少しずつこちらへと気持ちが猛スピードで落ちてくる。


陶酔感。


だけど一方で。
雨音くんに対する無防備な態度。
表情。


まだ、駄目だと思った。


もう少し。
もう少しだけ焦らして。
もっと俺で満たしたい。
そう、思った。



『教授…………』


出会ってから毎日毎晩抱き潰した時雨に触れない。
焦らして焦らして。
焦れて欲しがる時雨に興奮したし、あのまま襲ってしまいたくなった。


優越感。



でも。


『なんでぇ…………?』



泣かせるつもりなんて、なかったのに。



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