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暗殺者の愛で方壊し方

第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた




暖かかったぬくもりを、覚えてる。
辛いとき。
苦しいとき。
いつも手を握ってくれていた、おっきなぬくもりを、覚えてる。



「…………っ」



違う。
違う違う違う!!
ぬくもりなんか知らない。
そんなものなかった。
間違った記憶。
教授に会って初めて、ぬくもりを知った。
違う。
昔から、ぬくもりなんて感じたことない。



「時雨」


びくん、て。
体が跳ねる。



「人はね、哀しいときは泣くものですよ」


「…………っ」






"泣いていい"
そう、言われた気がした。



「理由が必要なら、俺が理由を作る」
「きょー、じゅ?」
「理由がないと行動出来ないなら、すべての事に俺が理由を与えてあげるから」

「…………っ」


「だから時雨。泣きたくないならそれでもいい。我慢は、しないで」
「…………」
「昔言われた言葉を今度は時雨にあげる」
「え」
「"生きていくのに、誰の許可もいらない。自分の意思で、生きること、死ぬことを選択していいんだ"」



頭に。
教授のぬくもりを感じる。
暖かい。
ぬくもり。



「時雨は、自分の意思でこれからのことを決めていいんだよ。誰の許可もいらない。………俺の、許可も」
「え」



教授の顔が見たくて。
腕から抜け出そうとすれば。
きつくぎゅうと抱き締められて、逃げ出せない。


「時雨が俺から離れる道を選ぶなら、止めない」






━━━━━━━ドン!!




て。
思い切り教授を蹴り飛ばした。
抜け出そうとしても離してくれないから。
こうするしかないじゃん。




「時雨?」


「哀しいときは、泣いていいんでしょっ?」




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