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暗殺者の愛で方壊し方

第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた


そうだ。
こーゆー人だ。
この人。




「………仕事、で、なんかあったの?教授」
「え」
「わかるよ、神経昂るの、あたしもあるから」



殺人。
通常ならば決して許されない行為。
行わない行為。
その感覚は、一生体に纏わりつく。
罪悪感は、決して免罪符など作ってはくれない。
血が騒ぐ。
異常なアドレナリンの分泌は。
時に人格さえも、崩壊するんだ。




「え……」



ポケットから、取り出した血だらけの1枚の写真。
それを見た時。
心臓が抉られたみたいに軋みながら悲鳴を上げた。


「嫌………っ」



思わず。
それを投げ付けていた。
そのままベッドへと横になり、頭まで布団を、被る。



「時雨………」
「なんで、教授がその写真……っ」
「すみません。昨夜の仕事の、ターゲットが所持していたものです」
「え」


あ………。


『父親を殺した俺を、受け入れるな』



そういえば。
意識飛ばす直前、聞こえた言葉………。




「時雨」




違う。
違う違う。
父親なんていない。
捨てられた子供。
いらない子供。



『落ちこぼれには用はない』


いつも冷たく見下ろして。
辛い訓練。
過酷な日常を、強いてきた。
当たり前だと思っていた、非凡な日常。
教授が教えてくれた。
光を見ること。
生きる、意味。
食べ物の美味しさ。
お湯の、あったかさ。
人の温もり。
全部、教授が。




「時雨、出てきて」
「嫌………ッッ」



戻りたくない。
帰りたくない。
思い出したく、ない。



「時雨」



ふわ、って。
布団の上から感じた、温もり。
教授の、あったかさ。



「直接、抱き締めたいのですが、駄目ですか?」


「…………っ」



ずるい。
ずるいずるい。
そんな言い方、ずるい。
逆らえるわけないの、知ってるくせに。



「………教授の、ドS」

「だから、今さらと言ったでしょう?」



おずおずと布団から這い出すあたしを、教授の腕が、抱き止めた。
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