第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた
雨が降っていた。
大粒の、雨。
目の前で血を流し、事切れた亡骸を見下ろす。
血にまみれたその掌に握りしめられた、1枚の紙切れ。
ただの気まぐれか、気の迷いか。
それを屈んで、手に取った。
「……………っ」
うつっていたのは。
幼い時雨と、雨音、くん。
それともう一人。
今しがた、自分が殺したこの男。
━━━━━━ドクン
痛みを伴って、跳ね上がった心臓。
突如遅い来た、目が眩むほどの、吐き気。
その場に立っていることすら困難で。
ふらふらと胃を押さえて壁へと手を着いた。
「大丈夫ですか」
手を貸そうとする、仲間を右手で制して。
「あとは、頼みます」
それだけ告げて。
壁伝いにその場を離れた。