第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた
「………は、はっ、はッッ」
窒息しそうな意識の中。
教授の欲がなかへと吐き出されて。
やっと。
唇が離れた。
もう。
手も足も。
動かない。
疲労。
痺れ。
痛み。
意識すらも。
ぼんやりとしてる。
それでも。
なんとか力を振り絞って教授の頬へと手を伸ばした。
「時雨………」
「やっと、とどいた……」
「時雨」
「やっと、さわれた」
ずっと触りたかった。
ずっと。
涙を拭って、あげたかったの。
「なかないで、きょーじゅ」
「え」
「時雨がいるよ。時雨は、きょーじゅのそばにいるから。何があっても、なにをされても」
震える指先で、涙を拭えば。
教授の掌が、その指先を捕まえる。
そのまま教授は、あたしの右手にキスをした。
「時雨………っ」
「大丈夫」
もどった。
教授の目、光………
もどった。
すぅ、と。
導かれるように意識が、深い闇へと沈んでいくのが。
わかった。