第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた
今さら冷静になって時雨を見下ろせば。
白い肌には痛々しくもたくさん、歯形の跡。
真っ赤になって腫れ上がっているところもある。
「…………っ」
これ。
全部、俺が………。
ぐったりと意識を飛ばす時雨の瞳からは、たくさんの涙の、跡。
苦しそうに、半開きの口からは短く浅く、呼吸が繰り返されていて。
どれだけこの小さな体に無理をさせていたのかが、わかる。
だけど。
いくらこの惨状を目にしても。
頭が冷静さを取り戻しても。
血が騒ぐ。
アドレナリンが、分泌され続ける。
興奮が、収まらない。
ドクン ドクン ドクン
心臓が早鐘を打つのを、止められない。
止めなきゃ。
そう、思うのに。
気付けば。
ぐったりと横たわる時雨に、自分自身を無慈悲にも打ち込んでいた。
「━━━━━っはぁ……っ!!」
途端に。
覚醒する意識。
「………きょ、じゅ……っ」
すがるように。
懇願するように伸ばされた掌。
それさえも奪って。
シーツへと押し付けると。
欲望のままに腰を打ち付けた。
「………っぁあ、ぁん……っ、んん」
口から飛び出す甘い声。
時雨なりの、快感を逃がすための方法なのかもしれない。
だけどそれすらも奪うように、口付けする。
逃げるように反り返る体を押さえ付けるように、体重をかけて時雨を押さえ込んだ。
「ふ、んんぅ……っ、んぐ、んん〰️ッッ」
苦しそうに。
口付けから逃げようとする時雨を追いかけて。
何度も何度も、唇を奪う。
両手はぐ、と、握りしめた掌に爪が立てられた。
バタバタと暴れる両足を押さえ込むように。
さらに腰を奥へと捩じ込んだ。
「んん〰️ッッ!!」
さらに苦しそうに暴れる時雨の声が耳へと響く中。
欲が放たれるまで。
時雨を解放してやることはなかった。