第2章 暗殺者の上手な愛でかた壊しかた
「ふっ、………ぅう、ん……ッッ」
微睡みの中にあった意識が、痛みで覚醒した。
首の後ろに走った激痛。
噛まれた。
首だけじゃない。
からだの至るところにあるのは、痛々しいくらいの歯形で。
所々うっすらと血が滲んでいる箇所も、ある。
「………きょ、じゅ」
覆い被さるように後ろから首筋へと歯を立てる教授の頭を撫でようと、手を伸ばせば。
その手を取られて。
ぐりん、と反転する視界。
「何してんの、時雨」
背中から、ベッドへと沈んだ。
「教授に、触れたかっただけだよ」
「嘘つき」
「嘘じゃないよ、教授……っ」
何を言っても、今の教授には届かない。
目が、違う。
顔が、表情が違う。
あたしを見る目付きが、全然違う。
「教授、好き………っ」
教授の頬へと手を伸ばすけど、それはすぐに掴まって捕らえられ、教授の右手が、動きを制限する。
「ひっ、……っぁあ!!」
いつもみたいな優しさなんて微塵もなくて。
教授の舌が、胸の先端を刺激する。
何度も。
何度も。
執拗に。
唇で食むように甘噛みしたかと思えば、口の中へと含まれたそれを転がして。
舌を丸めてつつくように先端だけを標的に、舐めまわす。
イきそうになったところで。
歯を立てて噛みつくんだ。
「………痛くても気持ちいいんだ?」
下半身へと手を伸ばした教授の指先が、クチュ……と音を奏でて。
体重をかけて、わざと耳元で囁く。
「ん、んんぅ……っ、ぁ、ぁあ……っ」
たくさん教授に慣らされた体は、教授の与える刺激全部に、反応する。
痛みも。
気持ちよさも。
「ほら、やだ、って言っていいよ」
「………っ」
「いつもみたいにやだ、って、泣きなよ」
光を失った右目。
左目からも、光なんて感じ取れなくて。
思い切り首を横に振った。
「━━━━っ、言えよ!!」
ぐり、って。
一気に指が2本、押し込まれて。
弱い場所を、抉る。
「ひ、っ、っぁあ、ぁ、あ、………っぁあ」