第7章 灯火
報告書を七海が仕上げてくれるので、私はそのまま高専に直帰した。
いつもはこのぐらい、どうってことなかったのになぁ。
流石に歳かな。
恵に指摘されて自覚してしまった身体は更に重さが増す。
「ちょっと寝よ……」
ベッドに横になり、片腕を額に乗せて目を瞑った。
まだ眠るには早い時間。
鳥や動物の鳴き声がする。
横になっていても収まらない身体の怠さ。
風邪ひいたかなぁ。
*****
夜になっても身体の怠さは無くならず、ずっとベッドに横になっていた。
そろそろ悟も帰って来るだろうし先にお風呂入ろうかなぁ。
なんてゆっくりとベッドから起き上がると頭がグラリと揺れた。
「ただいまー、真白起きてる?」
「悟、お疲れ様」
ベッドに腰掛けて怠さが収まるのを待っていると、ガチャリと勢い良く開く扉。
悟が帰って来た。
予定だともう少し遅い時間に帰って来ると思ってたのに、珍しい。
「恵から真白が体調悪そうだって連絡来て帰って来ちゃった」
「え、ごめんなさい。仕事大丈夫だった?」
「仕事なんて後回しで良いの、僕には真白の方が大事なんだから。
それよりどうしたの?熱?まだ身体辛い?」
「ん、風邪ひいたみたい」
「そっか……ごめんね、僕が無理させたから」
「ううん、悟のせいじゃないよ」
「ご飯はもう食べた?ってその顔色じゃまだそうだね。
お粥買って来ようか?」
ゆっくりと私を抱きしめてくれて、ベッドに優しく寝かせてくれる悟。
仕事で疲れている筈なのに1番に私のことを考えてくれる。
それだけでもう凄く幸せだ。
「真白、お粥とうどんどっちなら食べれる?
ゼリーとかの方が良い?」
「……おかゆ」
「ん、分かった。
急いでコンビニ行って来るからちょっと待ってられる?
熱ある?」
「熱はないと思う」
「ちゃんと測りなさい。
じゃあ僕すぐ戻るから熱測ってね?」
「ん、ありがと。悟」
お財布だけ持って部屋を出て行く悟。
その姿に、不謹慎ながら少し嬉しくなってしまった私はなんて悪い子なんだろう。
悟が私の為に動いてくれるのが嬉しい。
たまには風邪をひくのも悪くないかも、なんて言ったら怒られそうだけど。