第1章 もう1人の最強
原宿を歩いていると、やはり想像通り人通りが多い。
はぐれたら合流するのが大変そうだ。
スーツだとちょっと浮くな。
「釘崎ちゃん、私のオススメのお店あるんだけど行く?
可愛いジャージも売ってるよ」
「行く!」
「2人は暇だろうから適当に回ってても良いよ」
「なんで?女子2人だと大変でしょ。
荷物持ちぐらいなら俺やるからさ、ゆっくり見ておいでよ。
あ、でも中はちょっと入りづれーから外で待ってる」
「……ありがと」
良い子だ。
なんて良い子なんだ、こんな子が悟の教え子だなんて信じられない。
少し短い虎杖くんの髪を撫で、釘崎ちゃんと2人でショップに入る。
「はぁーっ、可愛い!!」
「ふふ、気に入って貰えたなら良かった。
時間気にしなくて良いから好きなの試着しておいで」
「神!!」
あちこちのジャージを手に取り、試着室に走る釘崎ちゃん。
キャピキャピしてて可愛いなぁ。
自分にもこんなに無邪気な時代があったのか、と少し歳を感じる。
「ねぇねぇ、辻咲センセ!どっちの方が可愛いと思う!?」
「うーん、そうねぇ。釘崎ちゃん的には黒が可愛いと思うけど、白も似合うね」
「あー!迷う!」
「ふふ、迷ってるなら2つ買っちゃおうよ。お会計お願いしまーす」
「え"!?」
「あとこれと、それも」
固まって動かない釘崎ちゃんを置いて、手早く会計を済ませる。
「2人共お待たせ」
「ちょ、ちょちょちょい待ち!辻咲センセ!?」
「はい、釘崎ちゃんの分」
「うぇぇ!?良いの!?」
「うん、もちろん。あとこれ恵と虎杖くんの分も。
これから実技増えて来るし、ジャージはいっぱいあった方が良いと思うから」
「……どうも」
「俺のも!?良いの!?」
「うん、貰って?」
「サンキュー!!」
人が喜んでる顔って、いつ見ても心が満たされるなぁ。
「ごめん、私ちょっと携帯ショップ行って来ても良い?
スマホ修理しなきゃ」
「はいはーい!じゃああたしらはタピオカ食べてんねー!
虎杖荷物持って」
「おう」
3人と別れて携帯ショップへ向かう。