第1章 もう1人の最強
午後の授業を終えると、再び強い眠気が襲って来た。
「眠いんすか?辻咲センセ」
「ん、釘崎ちゃんお疲れ様」
「話噛み合ってねぇし……寝るならあっちに仮眠室ありますよ」
「仮眠室は邪魔が入るから行かない」
放課後。
居残りで呪術の練習をする生徒も居れば、街へ繰り出す生徒も居る。
任務が入っていなければ唯一の自由時間なのだ。
「釘崎ちゃんどこか行くの?」
「良くぞ聞いてくれました!原宿に新しいジャージを買いに!
あ、センセも行く?
美人2人で歩いてたらナンパされ過ぎて困っちゃうかも!」
「確かにそれは困るわね。
釘崎ちゃん可愛いから私がボディーガードしなくちゃ」
女の子1人であの人混みに送り出して良いものか、と少し首を傾げると机で勉強していた恵が大きな溜め息を吐いた。
「あんた、それ本気で言ってんすか」
「へ?うん。だって大事な生徒を守るのも教師の……」
「あんたが勝手に出掛けたら面倒くさいのが居るでしょう、1人。
俺に押し付けないでくださいよ」
「大丈夫よ、悟だってもう良い歳なんだから。
行こうよ、釘崎ちゃん。
原宿。あ、渋谷も行く?」
「行く!!」
ついでにスマホも修理したいし。
いつまでも壊れたままじゃ、いざという時に役に立たないからね。
修理代は悟に出させるとして。
「恵と虎杖くんも行く?」
「行く行く!原宿!」
「恵は?」
「伏黒も行こーぜ!原宿!東京観光!」
「俺は良い」
「あ、そう?じゃあ私今スマホ壊れてるから何か会った時悟に……」
「行きます」
名前を出した途端に即答されるなんて、相変わらず周りに苦労を掛けてるね。
特に長い付き合いの恵には遠慮がないのだろう。