第6章 トナリ
「……まぃ」
「聞こえなかった、もっかい言って」
「っ、ご、5枚……だけ、借りてる……」
「ふはっ、思ったより多かった。
そのちっちゃい腕で全部抱えられた?」
「ううん、ギュッてしてるのが3枚で、あとの2枚は背中にあるの。
悟に抱き締められてるみたいで好き」
かなり恥ずかしかったけど、嘘はついてない。
本当のことを素直に伝えてみた。
途端に吐き出された長い長い溜め息。
やっぱり呆れられちゃった?
「ご、ごめんなさ……」
「真白があんまり可愛いこと言うから勃っちゃったじゃん」
「へ?」
「ねー、真白。僕とイイコトしない?」
「いいこと?」
とりあえず引かれてなかったみたいで良かった。
「そ。イイコト。僕とエッチなことしようよ、真白」
「っ、やだ!絶対無理!」
「えー?
僕は勃っちゃったから抜くんだけど、真白も一緒にしない?
気持ち良いよ」
「無理無理!絶対無理!」
「っ、そー?なら良いけど」
電話越しなのに、遠くで小さく何かが擦れる音が聞こえて来る。
これってひょっとしなくても悟の……その、自慰の音だよね?
時折くぐもったような声や、深い息が聞こえる。
いけないことなのに凄く高揚してしまっている自分が居る。
なんて恥ずかしい、なんて変態なのか。
こんなのバレる訳にはいかない。
「真白……真白の声聞かせて」
吐息混じりに囁かれる声。
いつもよりも三割増しで色香を放っている。
見えないのに、見えないからこそなのか、とてもエッチだ。
「こ、こえ?」
「ん、そう。なんでも良いから話してて。
最近あったこととか」
「え?うーん……最近野薔薇ちゃんが凄く可愛い。
いつも美味しいお菓子をくれるの」
「餌付けされてんじゃん」
「違うの、そういうんじゃなくて!
あとは虎杖くんが物凄い勢いで呪力の使い方を覚えて来てて、それに負けじと恵も頑張ってるかなぁ。
皆凄く筋が良いの」
この2週間の出来事は、こんなものじゃ語りきれない。
皆の成長は早く、一瞬目を離しただけで分からなくなる。
「ふっ……ねぇ、真白」
「なーに?」
「真白と一緒にイキたい。ダメ?」
「……狡い」
「んっ、知ってる。真白は僕のお願いに弱いもんね〜」