第1章 もう1人の最強
「悟の馬鹿!阿呆!」
「そんな怒んないでってば。可愛い顔が台無し」
「煩い!誰のせいだと!」
「僕」
「分かってんなら無限解いてそこに正座しろ」
「口が悪いよ〜?」
「誰のせいだと!」
「それ2回目〜」
軽く殺意が沸く。
あと今何時?午後の授業は。
「ねぇ、悟、午後の授業いつから?」
「もう始まってるね」
「は!?」
「真白遅刻〜」
「誰のせいだっ」
慌てて身支度を整えて教室に走った。
もう、本当に最悪。
なんでこんなの好きになっちゃったんだろう。
そう思うことも少なくない。
腰痛いし。
任務明けで眠いし。
「や。遅かったね〜」
教室の扉を開けると、目の前で悟がヒラヒラと手を振っていた。
あぁ……頭が痛い。
「そんなにピッチリ着込んでたら生徒達が取っ付き難いでしょ〜?」
着込んだスーツのネクタイを抜き去った悟。
そのネクタイを目の前で揺らし、ニタニタといつもの笑みを浮かべる。
その間生徒達はポカンと口を開けている。
「……悟」
「んー?ッ、乱暴は良くないよ〜」
ヘラヘラした悟の脇腹を蹴り飛ばした。
無限を解除していたのか手応えはあった。
かなり良いのが入った筈。
それなのにケロッとしている悟が腹立たしい。
「ごめんね、取り乱して。
1年生の副担任……というかこの阿呆のお目付け役みたいな者です。
辻咲真白と言います。よろしくね」
「ちょっとー?阿呆は酷くない?
あ、1年生紹介するよ、まだだよね?
真白もご存知の恵、宿儺の器悠二、こっちが野薔薇」
皆とても良い子そうだ。
まぁ、悟と比べたら大半の人は良い人になるけど。
呑気な顔をしている頭痛の種に溜め息を吐いた。
「私の担当は主に教科担当ね。
人として最低限の常識と知識を教えます。
常識知らないまま呪術師語らせないから、そのつもりでね」
「体術は僕に勝ったこと1度もないもんねー!」
「ちゃんと宿題も出すから、学業も疎かにしないように」