第5章 会えない時間
「ウソ。そんなバレバレな声で僕のこと騙せると思ってんの?
真白、毎日電話するし帰ったら1番に会いに行って抱き締めてあげる。
だから寂しくなったら絶対僕に言って」
「ん。寂しいよ……」
「うん、僕も寂しい。今どこに居るの?僕の部屋?」
「ん、そう。もうすぐ寝るとこ」
この前よりも多く服を抱え込んで、ベッドに潜った。
会えないことがこんなにも辛いことなんて知らなかった。
たった1日会えないだけでも寂しいのに、あと13日なんて耐えられる気がしない。
「じゃあ今日は真白が寝るまで電話繋いでてあげる」
「良いの?悟明日も任務でしょ?」
「真白と話してれば疲れも吹っ飛ぶの。ベッド入った?」
「うん」
横向きになって胸に3枚服を抱え、別の2枚を背中側にピッタリとくっ付ける。
前からも後ろからも悟の匂いがする。
これであと悟本人が居れば完璧なんだけどなぁ……。
「真白、イヤホンあるならイヤホンに切り替えた方が僕の声近くに感じられるよ」
「ほんと?」
「うん。隣に居るみたい」
悟に言われて、イソイソと机の上に置きっぱなしだったイヤホンを付けた。
確かにさっきよりも声がかなり近くに聞こえる。
「ねぇ、悟?」
「ん?」
「プレゼント何が欲しい?」
「真白が居るならそれだけで十分」
「もう、それじゃ私の気が収まらないの。私だけ貰ってばかりなのは嫌」
「……じゃあ、本当に敷いて言うなら指輪が欲しい」
「!うん!準備する!」
「無理はしなくて良いからね。値段も高くなくて良いし」
普段のおチャラけた悟の姿はなく、優しく、甘く囁く悟が居た。
傍に居ない分、プラスでときめいてしまう。
優しくて、いつもより少し高い声は私の心をトロトロに溶かしていく。
「悟のサイズ教えて?何号?指細いよね」
「真白が忘れちゃわないようにあとでメッセージで送っておくね」
「ありがと!」
「可愛いなぁ……良い子はもう寝る時間だよ。目瞑りな?」
「ん。悟は?一緒?」
「うん、僕ももう寝るトコロ。
真白が起きてる限りは僕も付き合うから眠くなったら寝ちゃいな」
「ん。ありがと、悟」
掛け布団を口元まで掛け、目を瞑った。
ふんわり香る悟の匂いと、声に、落ち着いていつの間にか意識を手放していた。