第5章 会えない時間
「難しい……」
「なんか欲しがってた物とかないんすか?」
「それが思い当たらないのよね。
欲しいと思ったらすぐ買っちゃうだろうし、そもそもあんまり食べ物以外買わないし」
「あぁ……」
恵に聞けばすぐに解決すると思ってたけど、中々そうもいかない。
やっぱり悟は難しい。
分かりやすいようで、本音は語らない。
「あ、アイスあるよ。食べる?」
「真白さんが食べたいだけじゃないんですか?」
「バレた?私買って来るから待っててね」
「俺も行きます」
アイスクリーム屋を見つけ、列に並ぶ。
少し暖かい今日はアイスがよく売れるだろう。
「ん〜、美味しい」
十分程並んで目当てのアイスを買うことが出来た。
甘くて美味しい。
「恵は何買ったの?」
「抹茶です」
「抹茶も悩んだ!一口食べたい」
「え」
「ダメ?」
「ドーゾ」
「やったぁ、ありがと!
ん、うま。私のも一口食べる?美味しいよ」
「いや、良いです」
アイスを堪能しつつ悟へのプレゼントを考える。
悟が欲しい物ってなんだろう。
「……もういっそのこと、プレゼントは私とかやったら良いじゃないですか。
あの人なら馬鹿みたいに喜びますよ」
「なっ、なっ、なっ!?
そんなこと出来る訳ないじゃない!恵の馬鹿!スケベ!」
「五条先生が1番喜ぶのなんてそれしかないでしょ」
「どうしよう、あんなに純粋だった恵がこんなこと……」
「それか五条先生本人に聞いてみたら良いんじゃないですか?」
「悟に?」
「それならサプライズにはなりませんが失敗はないでしょ」
「あ、確かに……ちょっとメッセージ送ってみる。
あ、恵は何か欲しい物ないの?」
「俺ですか?俺はダンベルですかね。新しいトレーニングの」
「恵筋トレしてたっけ?」
「少し前から。
たまに五条先生に稽古つけて貰ってたんですけど、あんまり時間が合わなくて。
五条先生が居なくても出来るトレーニングを始めようかと」
確かに前と比べて少し筋肉がついた気がする。
言われてみれば、って感じでそれ程大きな変化じゃないけど。
「オッケー、悟からの返信待つ間に恵の物見に行こうよ」
「いや、俺のは今度でも」
「良いから良いから」