第5章 会えない時間
「どこか行くんですか?」
「あ、恵。ちょっとショッピングモールに行こうかなって」
「1人で?」
「うん」
「はぁ……あんた前言ったこともう忘れたんすか?」
「何かあったっけ?」
「あんたを1人にすると五条先生が煩いんすよ」
恵が校門の前でスマホを触りながら立っていた。
あ、今から任務か。
それで車待ちって感じかな。
「恵今から任務?」
「話逸らしましたね……そうです、迎えを待っているところで」
「そっか、気を付けてね」
「任務終わったあとで良ければ付き合いましょうか?買い物。
その……荷物持ちも要るでしょう?」
「っ、良いの!?」
ちょうど男性側の意見も欲しいと思っていたところだ。
悟との付き合いも長い恵なら尚更信頼出来る。
「だから終わるまで部屋で待っててくださいよ」
「ううん、一緒に行く」
「は?」
「恵の任務着いてく。私は手を出さないから安心してね」
「その辺は心配してませんが」
恵と並んで車を待っていると、遅れて虎杖くんと釘崎ちゃんも合流した。
どうやら今日は恵は1人で、虎杖くんと釘崎ちゃんは2人で別の任務に向かうらしい。
まぁ2級呪術師になったなら仕方ないか。
「って辻咲センセ!?それどうしたの!?指輪!」
「あ、えっと、プレゼント……」
「五条先生から!?」
「うん」
釘崎ちゃんが私の指先を見て声を上げた。
流石は女の子、細かな変化にもすぐに気がつく。
「これ、めっちゃ希少な宝石だよ!」
「へ?そうなの?」
「うん。
雑誌で見たことあるんだけど、この大きさならウン千万はすると思うよ!?」
「は!?嘘でしょ、まじ?」
「マジ」
釘崎ちゃんの言葉に思わず素が出てしまった。
高価そうだとは思ってたけどまさかそんなにするなんて。
これじゃ何返しても見劣りしちゃうよ。
「まぁあの人金銭感覚ズレてますからね」
宝石の金額に驚いている間に2人の迎えが到着した。
伊地知くんが今日は2人の引率らしい。
じゃあ恵の方は誰が来るのかな?
会ったことある人だと良いなぁ、融通が効くし。