第4章 告白
溜まった任務を秒速で終わらせていく。
別にこの仕事僕じゃなくても問題ないでしょ。
なんで僕に振るかなぁ。
「伊地知早くー、僕もう速攻で帰りたいの」
「そ、そんなこと言われましても渋滞で……」
「これじゃ折角僕が秒で終わらせた意味なくなるよねー」
「すみません……」
全然進まない車にイライラしながら、スマホを弄る。
真白はもう寝てる頃かな。
いや僕が居ないと寝れないから起きてるかな。
体重も落ちてるしゆっくり休ませてあげたいのに、あの堅物連中め。
「じゃ」
「は、はい。お疲れ様でした。報告書は……」
「あとでやる〜」
伊地知の車を降りて、早足で自分の部屋に戻る。
早く真白に会いたい。
真白の気持ちを知ってから、愛おしい感情が増えていく。
念の為音を立てないようにドアを開けると、部屋は電気が消えて真っ暗だった。
部屋に居ないのかと思ったけど呪力は感じるから、珍しく寝てるんだろう。
「余裕ないなぁ」
学生時代からずっと好きだった相手。
気持ちを伝えないまま高専を卒業して、それぞれ呪術師になった。
特級呪術師として働き続ける僕達は任務で一緒になることは滅多にない。
特級が1人居ればどんな相手でも解決出来ちゃうから。
それなのに1年前、僕と真白が組む案件が発生した。
かなり厄介で呪術師の死者が2桁を超え始めたからだ。
『久しぶり、悟。脚引っ張らないように頑張るね』
そう笑う真白は学生の時と変わらず可愛かった。
コロコロ変わる表情はずっと見ていたいし、ふと香る蜂蜜みたいな甘い香りは食べちゃいたくなる。
絶対に傷つけたくない。僕1人で終わらせる。
そう思っていたのに対峙した呪霊は想像よりも厄介な相手だった。
呪霊が3体居たのはまぁ想定内。
2体は僕が引き受けたが1体は真白の方へ行ってしまった。
まぁ、1体ぐらいなら平気だろ。
あいつ強いし。
『術式順転……』
『ぐっ、う……!』
後ろから真白の呻くような低い声が聞こえ、術式を発動させようとしていた手が止まる。
振り返ると、肩の布が破け、そこから大量の血を流す真白の姿があった。
初めて見る白くてきめ細やかな肌は、見るも無惨に血濡れていて、その血を見た瞬間僕の中で何かがプツンと切れた。