第4章 告白
パックの紅茶を飲みながら隣の七海を見れば、ほんの少しだけ複雑そうな顔をしているように見えた。
「真白さん」
「うん?ん!?」
「あ、いえ、ご結婚されるなら今まで通り辻咲さんと呼ぶ訳にはいかないなと思いまして……」
「あ、そっか!確かにそうだね。
五条さんだとややこしくなっちゃうね」
五条さん。
自分で言っていて、凄く照れる。
「うーん、じゃあ私は建人かな。建人くん?」
「っ、それは少しクるので辞めてください」
「え、やだった?ごめんなさい」
「別に嫌とは言ってません。
私が呼び方を変えるからといってあなたが変える必要はないでしょう」
「それもそっか。ありがとね、ナナミン」
「はい」
「あ。初めてナナミンで返事してくれた」
漸く駅に着いた頃には、今までの疲れがドッとのしかかって来ていた。
疲れた。肩が痛いし眠い。
今日は報告書仕上げたらさっさと帰って寝よう。
「お疲れ様でした、ゆっくり休んでくたさい。また連絡します」
「うん、ありがと。七海こそゆっくりしてね」
高専に戻り、速攻で報告書を仕上げると悟の部屋に向かった。
鍵が掛かったままで、私が出て行った時と何ら変わりはない。
まだ帰って来てないのか。
もうどっぷりと夜も暮れている。
今日は帰って来なさそうだなぁ。
少し胸が寂しくなる。
「……寝よ」
シャワーを浴び、スウェットに着替えるとクローゼットにある悟の服を2、3枚持ち出した。
帰って来るまでに戻せば問題ないよね。
「悟の匂いがする……」
服を胸に抱き込み、顔を埋めれば肺いっぱいに悟の匂いが広がる。
匂いだけで心が和んでしまうのは相当重症だろう。
今なら1人でも寝れそうな気がする。
布団に入り、毛布を頭まで被る。
布団や毛布からも当然だけど悟の匂い。
なんか包み込まれてるみたいで落ち着く。