第3章 契り
一旦硝子のところをあとにし、部屋に戻ることに決めた。
あんまり長居しても邪魔になってしまうだろうし、あと何よりこいつと離れたい。
「真白ー」
「……」
「真白さーん?」
「……」
「ねぇ、真白ってばー」
「煩い、無視してるの分からないの?
なんで着いて来るの、仕事しなよ仕事」
「そんなものはないよ!
あと僕は真白の護衛だからね、ずーっと隣に居るよ」
「チェンジで」
「ムリ」
私の後ろを歩く五条。
本当にこの人が彼氏なんて信じられない。
一体何があったの、私。
「あっ!辻咲先生じゃん!起きたの!?」
「虎杖くん!なんか久しぶり」
廊下を歩いていると、後ろから虎杖くんに声を掛けられた。
いつもニコニコしていて可愛い。
「全然起きないから心配してた!平気?怪我治った?」
「うん、もうバッチリよ」
「良かったぁ!
あとで釘崎達にも顔見せてあげてよ、凄ぇ心配してたから」
「うん、分かった。皆もう部屋なの?」
「多分」
「分かった、行ってみるね。
あ。あんたは着いて来なくて良いから」
「何言ってんの、僕も行くに決まってるでしょ」
虎杖くんと話をしているのに、なぜか距離が近い五条。
別に私は護衛が必要な程弱ってなんかない。
「先生達喧嘩でもした?大丈夫?」
「大丈夫、ごめんね心配かけて。
よく分からないんだけど、私五条の記憶だけないみたいで」
「え!?先生だけ!?」
「うん、そう。
それ以外は全部覚えてるから問題ないんだけどね」
「あ、そうなんだ」
虎杖くんと別れて、その後釘崎ちゃんや恵の顔を見に部屋へ行った。
皆凄く心配してくれていたみたいで、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
部屋に戻ろうとすれば無理矢理五条の部屋に連れ込まれた。
意外と力が強くてびっくりした。
こんなに細いのに。
「ねぇ」
「なぁに?真白。ベッドは1つしかないよん」
「違う、そうじゃなくて。
私の刻印皆と違うんだよね?」
「そうだよ、見てないの?」
「見えないの。今までの被害者達もそうだけど、私からは何も見えない。
でも他の子達と違うなら、多分私に掛けられた呪いも別物と考えた方が良さそうね」
刻印があるであろう場所を撫でながら尋ねる。