第3章 契り
真白の身体を抱き上げ、僕の部屋に運ぶ。
僕のベッドに居る真白はいつもの真白じゃなくて、どこか知らない人のようだった。
「なぁ、起きろよ」
小さく胸が上下するだけで、目が開く気配はない。
お前はそんなに弱くないだろ?
なんで呪いなんか受けたんだよ、いつも無傷で帰って来るじゃん。
前回の長期任務だって何も怪我しなかったし。
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結局、その日から3日と過ぎたが真白が目を覚ますことはなかった。
声を掛けても反応はない。
どんどん腕が細くなっていく。
「ごじょーせんせ!大丈夫?」
「悠二ー、僕の心配してくれるの?優しいね〜」
「真白さんの体調は大丈夫ですか?」
「まだ意識戻んないってマジ?」
「もうぜ〜んぜん、起きてくれないの」
あの日から生徒達の表情も少し暗い。
恵以外は少ししか一緒に過ごしていないのに、随分打ち解けたな。
特に野薔薇。
僕に対する反応と全然違う。
「ナナミンもよく高専来てるけど、やっぱりこないだの調査だよね?
辻咲先生が怪我したのもあの任務だし」
「ピンポーン!流石悠二!」
「家入さんの反転術式でも治せないんですか?」
「治ってるよ、傷はね。
でも1つだけ呪いは解除出来なかった。この僕ですらね」
「先生でもォ!?」
反転術式はあくまでも外傷を治すだけ。
精神的な傷は治せないし、外傷が完治したからといって意識が必ず戻る訳では無い。
「嫌だなぁ、この感じ。まるであの時みたいだ。
また僕はお前から何かを奪うのか?」
「どったの?先生」
「んーん、なんでもないよ。
僕真白の様子見て来るから皆は自習ね〜」
「どうなんすか、それ。教師として」