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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第2章 過ち


「どうやらお出ましのようね。
七海、影響を受けないように念の為呪力で耳を強化しておいて」
「はい」



懐から丸いレンズのサングラスを取り出し、掛ける。
私の放電は強い光を伴う為、目を痛めないようにする必要がある。
海の方から強く濃い呪力を感じる。



「そろそろ教えていただけませんか」
「呪いの正体は人魚で間違いないわ。
それもセイレーンね。
歌で男を惑わし、海底へと連れ去る。
連れ去った男達は恐らく彼女達の腹の中、呪力になってるわ」
「達?1人ではないのですか?」
「セイレーンは4〜5人の姉妹と言われているの。
実際は私も知らないけど、でも強敵よ」



両腕に呪力を溜めながら会話をする。
いつ、呪霊が現れても速攻で祓えるように。
気配はどんどん濃くなっていくのに姿はまるで見えない。
まだ、少し距離があるようだ。
この呪力量、初めから全開でいかないとマズイかもしれない。



「彼女達は男の血肉を食らい、それを呪力の糧とする。
そして目撃者の女性達の願いを叶える代わりに、大事なものを奪ったの」
「声と目ですか」
「そう。これは呪いじゃなくて制約みたいなもの。
だからセイレーンを祓わない限り彼女の呪いは解けない。
なぜ男ばかりを狙うのかは分からないわ」
「正体が分かれば十分です」



ドンッとけたたましい音がして、大きな雷が海に落ちた。
息が詰まりそうな程に濃くなった呪力。
……居る。すぐそこに。



[なんでわたしの声が届かないの、ニンゲン]



頭に直接語りかけられる声。
その高い声は頭がキンキンする。



[お姉様、こいつは呪術師よ]
[ほぅ……女には興味はないが、男の方は食ろうて妾の呪力にしてやろうぞ]
[それが良いですわ、お姉様。
あの女からは何を頂こうかしら]



現れたのは金色の髪をした女が3人。
目は赤く血走り、ニヤニヤと笑う口元からは赤いものが滴っていた。
人間の血液といったところか。
わりと新しいものだ。
真ん中の女だけ、少し声が違う。
頭の中に語りかけるテレパスのような音じゃなく、呪霊のような濁った声でもない。
まるで人と会話しているような声色だ。



「……なるほど。
女性を殺さなかったのは、その女性から身体の一部を奪う為。
殺してしまったら奪えないし、何より奪ったものの効果が切れてしまう。
そんなところかしら?」
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