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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第2章 過ち


「悟はね、罪滅ぼしで私と付き合ってるんだよ。
責任を取ったつもりなの」
「子供でも出来ましたか?」
「そうじゃないの。見て、背中に大きな傷があるでしょ?」


バスローブの紐を解き、背中を見せる。


「気持ち悪いよね。
この傷ね、悟がつけたの。
1年ぐらい前の任務で悟と組んだ時、悟の術式が私の背中に当たって残った痕。
当時は出血もヤバくて生死の境をさ迷った」



背中に大きく、深く刻まれた火傷の痕。
一生消えることは無い。
硝子の反転術式でも傷は治せど痕までは不可能だった。
傷口が深く、与えた相手の呪力量が多かったから。



「私を殺しかけたこと、治らない傷を残したこと、反転術式を壊したこと。
悟は気にしているの」
「反転術式を?壊すことが出来るんですか?
だって反転術式は……」
「そう。負の呪力同士を掛け合わせることによって発生する。
恐らく破壊は出来ないと思う。
でもあれ以降、私は他人は愚か自分への反転術式すらも使えなくなったの。
残ったものは、唾液に含まれた微量な治癒効果だけ」



反転術式程効果が強くない為、瀕死の仲間の命を救うことは出来ない。
止血だとか、痛みを取るとか、あとはそこまで重症じゃない傷を完治させるだけ。
反転術式の足元にも及ばない。



「五条さんがそんなヘマしますか?」
「あの時は悟も私も上手く連携が取れなかったのよ。
久しぶりに組んだから、私が脚を引っ張った」



バスローブを着直し、七海と向き合った。
その目は驚きと哀れみの混じった色をしている。
この話は誰にもしたことがない。
硝子にすらも話せてない。
だから周りは皆私と悟は好き合ってると思ってるし、私の反転術式も健在だと思ってる。



「……分かりました。そういうことでしたら一緒に寝ましょう」
「良いの?」
「今日だけです」
「ありがと」



ベッドに入った七海は腕を私に広げる。



「痺れちゃうよ?」
「そんなヤワな鍛え方してませんよ」



伸ばされた腕に頭を乗せて、肩口に顔を埋める。
温かくて優しい匂いがする。



「あまり自分を責め過ぎると辛くなりますよ。
あなたは十分頑張っているんですから、自信を持ってください」
「ん……ななみ」
「はい」
「ありがと」


頭を丁寧に撫でられ、どんどん瞼が下りて来る。


「いつでも私を頼ってください。五条さんよりも」
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