第2章 過ち
「辻咲さん達はどちらへ行かれるんですか?
あなたが引率をするって珍しいですね」
「……沖縄」
良い思い出がない場所。
悟が殺されかけた土地。
悟が命を掛けて戦っている時に、私は呑気にお風呂に入っていた。
あの場に私が居れば今とは違う景色が見れたんじゃないか。
今でもそう思わない時はない。
あの時から悟は1人で最強になった。
「奇遇ですね、私も沖縄です」
「……もしかして人魚の仮想怨霊?」
「はい。辻咲さんもですか?
2組で同じ任務とは珍しいですね、しかも互いに知らされず。
私は五条さんが断ったからと回って来た仕事です」
「あー……理解した。
多分悟が勝手に私に割り振って、それを上に報告しなかったんだと思う」
「ダブルブッキングですか。困った人ですね」
2人で深い溜め息を吐く。
あいつはそういう奴だ。
多分責めてもヘラヘラした顔で謝るだけ。
「まぁ、たまには誰かと任務っていうのも悪くないかな。
改めてよろしく、ナナミン」
「だからその呼び方辞めてください。いつも通り七海で良いです」
「無理、気に入っちゃった!」
「はぁ……そういうところ五条さんとそっくりですよ」
「やめて」
*****
虎杖くんの話が面白くて、結局あれから睡眠を取ることはなかった。
少し振り回されるナナミンも面白い。
「着いたー、沖縄!」
「早速で申し訳ないけど、一旦今日泊まる宿に行きましょ。
先に疲れを取り、その後調査に向かうわ」
「はーい!」
「その方が良さそうですね。流石に長時間座ったままは身体が固まる」
3人でホテルに向かい、チェックインを済ませる。
部屋はすでに悟が手配済みだったらしく、スイートルームになぜか3人同じ部屋だった。
「あの人は何を考えてるんですか……」
「さぁ、何も考えてないんじゃないかな……」
「うぉ、ベッド超ふっかふかなんだけど!
高ぇー、遠くまで見える!このお菓子って食って良いのかなー?」
無邪気にベッドの上で跳ねる虎杖くん。
まぁ楽しそうなら良いの……か?
「私はフロントに確認して来ます」
「あ、うん。お願い」
「虎杖くん先に着替えておいで。
学生服で歩いてたら目立つから、今日だけ特別」
「あーっす!」
虎杖くんを着替えさせる為に一旦部屋を出た。