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【呪術廻戦】溺愛君主は甘やかしたい

第10章 五条悟という男


「でも、意外ですね」
「ん?何が?」
「辻咲さんも惚気たりするんですね」
「惚気?したっけ?」
「無自覚でしたか……」
「えっ、ウソ!ごめん!いつ!?困ったでしょ、ごめんね!」
「いえ、私は別に辻咲さんから聞く分には何も苦ではないのでお気になさらず」
「ふぅん、じゃあ誰から聞くのは苦になるのカナ〜?」
「ひっ!?ごごご、五条さん!?」



静かに開いた扉。
私は気が付いていたけれど、伊地知くんは気付かず話を続けてしまったみたいだ。
可哀想だけどタイミングが悪い。



「ところで伊地知、誰から聞くのは嫌なワケ?まさかとは思うけど……」
「ごっ、五条さんな訳ないじゃないですか!」
「だーれも僕なんて言ってないんだけど?」
「あっ……」
「ふぅん、伊地知は僕のことそんな風に思ってた訳ね。
ショックだなー、これは今後の仕事に影響出そうだなー」
「えっっ!?」




なんとも棒読みな悟の言葉に、伊地知くんが目を剥いて驚く。
確かに、冗談だったとしても悟が抜けるなんてことは考えたくない筈だ。




「悟、お疲れ様。大丈夫だった?」
「だぁいじょうぶ。真白が心配することなんか、何もないよ。
この件はあとは上に投げるから、その対応次第だけどね」
「そっか……」
「久々の任務で疲れたでしょ。
今日は帰ってゆっくり休もっか」
「え、でも……まだ他の術師が後始末に動いてるのに私だけ……」
「いーのいーの。真白の仕事は終わり!
ついでに僕の仕事も終わりだから、今日はゆっくり寝かせてあげるよ」




悟の言葉に伊地知くんが振り返った。




「五条さん、あの、五条さんはまだ仕事が……」
「真白もっかいお風呂入ろー」
「あの、五条さん?聞いてます?」



伊地知くんの声はどんどん遠くなっていく。
それもそうだろう。
悟が私を抱えてスタスタと帰って行ってしまっているのだから。
伊地知くんの泣きそうな声が廊下に響き続けた。



「ごめん、伊地知くん。明日ちゃんとやらせるから!」



小さくなった伊地知くんのシルエットにそう言葉を投げかけた。
返答はなかったけどきっと聞こえているだろう。
伊地知くんには凄く申し訳ないけど、私も今日は流石に疲れた。
これ以上仕事も出来ないし、寝るには悟が必要だ。
仕方ない。
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